if…運命の恋 番外編Ⅰ「美しい女性」
少しだけ寂しそうに優人の頬にスリスリするお義母さんが、苦笑いする。
「お父さんと話してたのよ。きっと3人ともアメリカに行くんだろうねって」
『そう、うん、当分はあっちで生活して、でも必ず戻るからさ』
「うん、俊ちゃん達の決めた事だから仕方ないわ。頑張りなさい。はぁ~~でも、優人にあえなくなるのは残念だわぁ~」
『会えなくても、動画で通話できるから、、ね』
「そうねぇ、、」
後部座席に座るお義母さまが、優人の頭を撫でながら抱きしめていた。
実家についてから暫くのんびりして、夕方になる頃にお義父さまが往診から戻ってきた。挨拶しようと声をかけると、はにかんだ笑顔で目を見る事もなく挨拶を交わす。前回お会いした時に目を合わせたら、ちょっとだけドキッとしてしまった。だってお義父さまの微笑んだ優しい目は俊と同じだったから。
お義父さまは、優人を見ると「おいで」と優しい声をかけ、自分の膝の上に乗せた。そして「おぅ~~優人はちょっと見ない間に大きくなったなぁ。この間会った時から数ヶ月なのに、子供は成長が早いぁ」と孫の成長に感激しながら優人の頭を撫でていた。
優人に笑顔を向けて優しく話しかける姿を見ていると、俊が『どうした?』って聞いてくる。 いやいや、、見とれていたわけではないわよ。焦ってる私?
「えっ、、何でもないけど」って答えると俊が目を細めた。
食後の果物をお義母さまが持って来ると、その後から俊が、フォークとお皿を持って来るので私は手伝おうと立ち上がると、
「ああ、薫ちゃん、いいのよッ!座ってて」
「でも、私もお手伝いを」
『いいんだよ、薫はいつも家事を完璧にしてるんだから、ここではゆっくりしてて』って、、嫁なのに甘えすぎでしょ?私。
するとその会話を聞いていたお義母さまがニヤけながら
「ねぇ、俊ちゃんって、本当に薫ちゃんにメロメロなのね~?」
『メロメロ、、って、母さんそれ、いつの時代の言葉だよ』
「あら、私たちの時代の言葉よねぇ、お父さん」
お義母さまはそう言いながら、横に座るお義父さまに視線を向ける。
「ああ、、、そうかな?」