if…運命の恋 番外編Ⅰ「美しい女性」

お義父さまの答えに不満足そうな顔をすると「俊ちゃんはお父さんみたいじゃなくて、ちゃんと愛情表現しなくちゃ駄目よ」ってお義母さまは言い放った。
俊はその微妙な空気を感じたのか、突然に話題を変える。

『そういえば、今夜は近くの神社でお祭りしてるらしいね』
お義母さまが、その言葉にうって変わっての笑顔になると、
「ねぇ、俊ちゃん、優人を連れて行っちゃダメ?」
『うん、いいけど、、』
「えっ! ほんと?」
『薫、良いかな?』
「ええ、、じゃぁ、私も」
「ああ、薫ちゃんは良いのよ、そうねぇお父さんと俊ちゃんと一緒にお話でも」

新米”婆ば”は、ひとりで孫を連れて歩きたかったのだ。しかし失敗に終わりそう?すかさず俊が、大事そうに優人を引き寄せながら
『母さん、ひとりじゃダメだよ! 薫はイイとしても僕は一緒に行くよ!』
「ええ!! 俊ちゃんも行くの?」
『はい、行かせて貰います。なぁ、優人?』

嬉しそうに笑う優人をみて、お母さまも諦めたらしく俊と3人で玄関に向かうのです。玄関先に私も一緒に行って”行ってらっしゃい”の手を振るのだけど、、何だか残されるのも不安になっちゃいます。

『薫、どうした?』
「えっ? 何でもないわ」
『うん、そう? あっ、うちの親父は最初こそは人見知りだけど薫のような美人には優しいし、だけど、僕と嗜好が一緒だろうから、、、十分に気をつけてな!』
そう揶揄(からか)うように言うのです。さっきお義父をボーっと見てたから仕返しですね

「あ、あなたねぇ~~ッ!」
俊のそんな言葉に、慌てて思わす大声を上げてしまった。

『あははッ冗談だよ~!親父とTVでも覧てて』

そう言うと先に向かった2人を追いかけてお祭りへと出かけ、リビングの方に向き直ってちょっとだけ大きく息を吐いてリビングに戻ったのです。
俊には”何でもない”と言ったけど、やっぱり面識の少ないお義父さまとふたりだけというのは、どうも居心地が悪いというか、何を話したら良いのかとちょっと困ってしまった。

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