幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
遅い時間になってしまったが、二宮先生に連れられて小児科まで向かう。私は腰辺りが痛過ぎて一人では歩けないので車椅子に乗り、瑛ちゃんに押してもらった。新生児NICUという場所に一旦立ち止まり、入口で手にアルコールをし、ビニールで出来ている帽子を被り、ビニールで出来ている手にピッタリフィットする手袋もする。更にはマスクも手渡される。完全防備をした私達はNICUに入ることを許された。

「こひなちゃん、パパとママが来たよ」

小児科には朗らかな笑みを浮かべながら、こひなに話しかけている小児科の男性の先生とベテラン看護士さんに見える50代後半位の女性が居た。瑛ちゃんと二宮先生の影響からか、こひなは浸透しているみたいだ。

こひなは保育器に入り、鼻から管を通されていた。改めてこひなを見ると、腕と足が細く、全体的に小さい。その姿は痛々しくも感じる。

「こひなちゃんの手を握ってあげてください」

先生にそう言われて、保育器の中に恐る恐る手を伸ばして、こひなに触れる。こひなの手を軽くにぎにぎしていると僅かながら握り返してくれたような反応があり、瑛ちゃんと共に喜びが高なる。元気に産んであげられなくてごめんね……と何度も心で思いながらも、こひなの可愛さに胸を打たれる。可愛すぎる……!

フラッシュをたかなければ写真を撮っても良いと言われ、こひな一人の写真と三人での家族写真を撮影した。その後、こひなの現在の状況を説明され、一週間位は保育器の中で過ごすと言われた。

出産時に臍帯が首に二重に巻かれて呼吸が上手く出来なかったこひなは、産まれてからも苦しくて泣けずに居た。その後にチアノーゼが発症し、新生児NICUへ移動。現在は保育器に収容され、点滴をし、鼻から栄養を入れ、酸素も吸入している。もしかしたら、自発呼吸が出来ない最悪の場合は自宅に帰宅してからも呼吸器をつけて過ごさなければならないらしい。本当ならば、母子共に同室で過ごすはずの期間だが、我儘なんて言えない。今はただひたすら、こひなが元気になれるように祈るだけだ。
< 101 / 112 >

この作品をシェア

pagetop