幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
「いずれ家族が増えた時の事を考えて、最初から家具や部屋をファミリー向けにしたんだよ。……陽菜乃が結婚してくれないと、この広いベッドで俺は一人で寝る事になるね」

「……? 最初から枕が二つあるなら、私じゃない誰かの物だったの? だとしたら、その誰かと結婚した方が良かったんじゃないの?」

その誰かと結婚出来なかったからの、私だったのかな?

誰かの為に用意されていたファミリー向けの部屋であり、ベッドルームだったのかな?

「はぁ……、その誰か? って誰なんだよ?」

呆れ顔で私に問いかける瑛ちゃん。

「分からない。それは瑛ちゃんが一番知ってるんじゃないの?」

「知らないよ、身に覚えがない。あー、もー、恥ずかしいから言わなかったけど、この部屋もベッドも陽菜乃と結婚する前提で用意したんだよ! だから、陽菜乃が結婚してくれないと本当にこの部屋もベッドも無駄になるんだよ!

ちなみに片方の枕は誰も使ってないし、俺も自分のしか使って無いからな? 枕が二つあるだけで変に勘ぐられるなら、隠しておけば良かった」

瑛ちゃんは半ば投げやりのように説明しながらも、照れていたようにも見えた。

「ご、ごめんね。枕は一人一個って、子供の頃にお兄に口うるさく言われてたから。他の誰かが居たのかな? って思ってたから……」

「高雅も余計な事を吹き込むなよ。あー、思い出した! あの枕事件だな! ……しかも子供の頃の話を持ち込むなよ」
< 16 / 112 >

この作品をシェア

pagetop