幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
──3月の良く晴れた日の朝、私達は都内のホテルのブライダルフェアに向かっていた。

「ごめん、いつも突然で。予約に間にあったから」

「ううん、誘ってくれて嬉しいよ。瑛ちゃんの仕事が忙しいのは分かってるから気にしないで」

兄に土日の休みを要求して以来、瑛ちゃんは私に気遣ってくれている。前日に重篤な急患が出ない場合は少しだけ遠出が出来る。遠出と言っても、電車でお出かけの都内だけれども。

いつもは空いた時間に病院横のショピングモールで買い物をしたり、お茶をしたりしている。私は近場のショピングモールだろうと都内だろうと一緒に居られるだけで嬉しい。

「な、何、ここ……? めちゃくちゃ高級ホテルだよ?」

「陽菜乃がウェディングフェアに行きたがっていただろ? 今日はたまたまこのホテルがフェアやってただけだ。今日、このホテルに決めろって言う訳じゃないから、他のホテルや式場のフェアにも行ってみような」

「いや、そういう事じゃなくて……」

確か、このホテルは高級老舗ホテルの系列ホテルでつい最近オープンしたばかりだったりもする。たまたまオープンした時にワイドショーか何かの番組で目にしたのだが、スイートルームには専属バトラー(執事みたいな人)がつく高級ホテルだ。

「式場と教会は別館になっておりますので、独立している貸切会場だと思って頂ければ幸いです。ホテルの披露宴とはいえ、他の宿泊ゲストを気にせずに式を上げられるので大変人気があるんですよ」
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