幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
引っ越し先は高級な低層レジデンス
「陽菜乃、必要な物だけ出して他の荷解きはゆっくりやれば良いから。今日は疲れただろ?」

瑛ちゃんから結婚を申し込まれてから約二ヶ月が経った。その間に両家に挨拶に行き、両親同士の顔合わせ(……と言っても以前から顔馴染みなので形式として執り行われた。)や結納を行い、入籍も済ませた。ついには瑛ちゃんのマンションに引っ越しをする事になり、今日はその引っ越し日だったのだ。

瑛ちゃんとの結婚を不安に思う暇も実感を噛み締める暇も無く、あれやこれやと事は進んで行った。

「……うん、疲れたかも。ちょっと休みたい」

「ソファーに座ってて。今、飲み物入れるから。紅茶とコーヒーしかないけど、どっちが良い?」

「紅茶が飲みたい、です」

お言葉に甘えて黒革のソファーに腰をかけた。ふかふかな感触に思い切り、背筋を伸ばして寄りかかった。

午前中から引っ越し業者が来て、慌ただしく過ごしている内にいつの間にかに夕方になっていた。瑛ちゃんは仕事を早めに切り上げて帰って来てくれた。引っ越しは兄夫婦が店を休業して手伝ってくれて、先程帰ったばかり。

瑛ちゃんは海外から帰って来たと同時にこのマンションに住める様に準備していたらしい。瑛ちゃんが勤めている総合病院も歩きで行ける範囲内にある。将来、結婚後も容易く病院に行き来出来るようにと考えて購入したらしい。
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