幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
「好きな食べ物? ……だったら、真っ先に陽菜乃を食べたいよ」

瑛ちゃんの顔がゆっくりと近付き、唇が重ねられる。先程とは違う、ゆっくりで私の唇を貪る様なキス。息が出来ない。振りほどこうにも振りほどけず、身を任せるしか無かった。次第に恥ずかしさも薄れて来て、背中に手を回して気持ち良ささえ感じてきた。

「陽菜乃、可愛い。目がトロンとしてる」

「瑛ちゃんの馬鹿。……こ、んなの、シたのは初めてだもん」

「そっか、俺が陽菜乃の初めてで良かった」

瑛ちゃんは私の額や頬にキスを落とした。

この先はどうなってしまうのだろう?と内心ドキドキしていたのだが、常駐のコンシェルジュからデリバリーが届いたと連絡があった。

「残念……」とだけ呟いて、瑛ちゃんは私の傍を離れた。

高鳴る胸を落ち着かせるように窓から外を眺める。当たり前だけれども実家とは違う景色に見入ってしまう。

今日からは間違えなく、このマンションで生活して行くんだよね。朝晩を共にして、浴室も共同で使って……、そして何より瑛ちゃんと二人きり。

二度程、お邪魔した時はどちらも瑛ちゃんが夜勤をする日の昼間だった。

一度目は兄への結婚の報告の日、二度目は簡単なお昼を作って一緒に食べて、二人でまったりと過ごしただけ。

まだ一度もお泊まりはしてなく、今日が初めて一緒に夜を共にする。私の心臓、ドキドキし過ぎて壊れないかな?本当に瑛ちゃんのお世話になったら洒落にならないな。
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