幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
やり直しウェディング?
7月初旬、瑛ちゃんとの結婚生活は順調だ。

家事を頑張りつつ、瑛ちゃんとの時間も大切にしている。二人で行く散歩がてらの夜のコンビニは、癖になりつつある。いけないと思いつつ、ついつい甘いものを買ってしまう。

隙あらば……、と朝晩関係なく、瑛ちゃんに求められる。瑛ちゃんの仕事の兼ね合いもあるので、回数は多くないと思うけれど……、休みの日の前日は濃厚な一夜を過ごしている。

今日は瑛ちゃんと午後からデートの約束。午前中は瑛ちゃんをゆっくり寝かせてあげて、午後からは水上バスに乗り、お台場に向かいショッピングとディナーに行く計画を立てている。

屋形船は父が好きで、親戚の集まりと言えば屋形船みたいな恒例行事だったので、何度も乗った事があるが、水上バスは子供の頃に何度か乗ったきりだったので楽しみにしている。

デートの翌々日からハネムーンにも行く事になっている。その間は海外の病院の先輩が応援に来てくれているので、急患が出ても安心なのだそう。

担当の患者さんにも事前にお話して了承を得て、先輩にもカルテを共有してあると言っていた。患者さん達からも祝福を受け、子供達からは"結婚おめでとう"の寄せ書きをもらったと言って見せてもらった。中には絵を描いてくれた子もいて、寄せ書きに癒される。

瑛ちゃんが疲れているのにも関わらず、せっかくの羽を伸ばせる休みだからと言ってくれて、今日のデートが決定した。

しかし、瑛ちゃんには秘密にしている事がある。何だか最近、ずっと胃がムカムカしているのだ。お腹は壊しては居ないので、胃腸炎などではなさそうだ。

瑛ちゃんの帰宅の早い日やお休みの日は張り切って料理を作っている為、自分自身もついつい食べ過ぎてしまう。きっと、胃のムカムカはそれが原因なのだろうと思う。食べ過ぎだけれども、お腹が空くと気持ちが悪くなり、また食べると落ち着く。とてつもなく、変な症状だ。

「陽菜乃、準備出来た?」

「うん、出来たよ」

「いつもより可愛いよ」

「……ありがと。瑛ちゃんも、ね」

額にキスを落とされ、私もお返しに頬にキスをした。二人で微笑んで、チュッと軽く唇を合わせた。

傍から見ればバカップルにしか見えないけれど、誰も見てない部屋の中だから平気。

袖口がヒラヒラとした可愛いブラウスにふんわりとしたスカートを合わせて、ミュールを履く。耳にはお気に入りのイヤリング、左手の薬指には勿論、結婚指輪がはめられている。

外に出る前にコンシェルジュが「行ってらっしゃいませ、幸せな一日を」と言ってくれた。

いつもは「行ってらっしゃいませ」だけなのに、それだけで特別な一日の始まりだった。
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