幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
「綺麗だよ、陽菜乃。本当は今すぐにでも食べてしまいたい位に愛おしい」

リムジンの中は二人きりとはいえ、迫ってくるのは反則。

耳に手をかけられて、ゆっくりと唇を奪われた。最近の瑛ちゃんはキス魔だ。車内に粘膜の混ざり合う音が響く。

以前は触れられただけでも、あんなに身体が固まっていたのに現在は、はしたないかもしれないが瑛ちゃんに触れられるのが心地良い。

「鷹司様、到着致しました」

リムジンが停車し、ドアが開けられた。

瑛ちゃんは何事も無かったかの様に澄まし顔のまま、リムジンから先に降りて私の手を引いた。まるでお姫様になったかの様に扱われる。

リムジンから降りた後、目の前に広がった景色は東京湾とクルーザーだった。

瑛ちゃんにエスコートされて、クルーザーに乗り込んだ。

一斉に「ご結婚おめでとう!」と歓喜の声が聞こえて、祝福を受けた。

貸切なクルーザーの中はパーティー会場の様になっており、望月先生や二宮先生、病院で出会った先生や看護師の方、兄と初音さん、そして披露宴に出席してくれた私の友達達が居た。

感極まってしまい、言葉が出ない。

今直ぐにでも涙が溢れそう。

「コレでチャラとか都合が良過ぎかもしれないけど、俺なりの披露宴の穴埋めさせてくれる……?」

「……はい。今、ものすごくうれし……くて……」

私は瑛ちゃんの事が大好きだ。

彼には、正義感が強い故の行動にも誇りを持って欲しい。その正義感の強さで、時に私が優先されなくても良いと自分に言い聞かせていた。

……だけれども、心のどこかでは悲しかった。
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