幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
新生児室を出て、「しょうがないから外科に戻るか……」と言われて歩き出したら、望月先生の元に電話がかかって来た。

「あ、鷹司? お嫁ちゃん?居るよー。今から外科に戻るよ」

瑛ちゃんからだ。

「お嫁ちゃん、行こう。鷹司が手術終わったって」

「はい、お願いします」

望月先生の後ろを着いていく。段々と歩くスピードにも着いて行けるようになって来た。

外科に着くと瑛ちゃんが出迎えてくれた。

「陽菜乃、大丈夫だったか? ごめんな、わざわざ……」

「私は大丈夫。望月先生にお世話になっちゃった。あの、これ、差し入れの和菓子です。瑛ちゃんと皆様で」

「ありがとう」

私の姿を見つけた途端に心配そうに近付いて来た。実はお土産の他に兄から瑛ちゃんに差し入れの和菓子を預かっていたので手渡す。

「うわー、あの鷹司先生が優しいよ」
「天変地異が起こるんじゃない?」

「おい、うるさいんだよ。"和菓子司 小花衣"の和菓子を食べさせないからな!」

「あー、怒った!」
「でも、鷹司先生は顔が真っ赤だよ」

瑛ちゃんの態度に周りの先生からの野次が飛んでいる。

「あんなんでも彼らは優秀な外科チームの一員だからね。仲間だと思いたくない日もあるけど、医者としては一流だから」

望月先生は相変わらずのクールな表情で親指を後ろにクイッと曲げて、外科チームの方々を指差しながら言った。

「望月先生に褒められた……!」
「褒められてるのにディスられてる感が半端ない!」

私に向かって望月先生が教えてくれた。瑛ちゃんは良い同僚に恵まれていると思う。楽しそうな職場だなぁ。
< 59 / 112 >

この作品をシェア

pagetop