幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
──体調も考慮しつつ、つわりがおさまってきた今日から料理教室が始まった。テレビにも出演されている料理研究家の方が行っている料理教室で、教室の外見は白い煉瓦で作られ、カフェの様なオシャレさがある暖かい作りの場所だ。

「初音さん、震えてますよ、大丈夫?」

「だ、大丈夫よ。皮むきは得意なの」

瑛ちゃんのお母様の千紗子さんのお知り合いの料理教室に通う事になり、初音さんも一緒に通う事になった。初音さんの包丁を持つ手は震えていて、じゃがいもがツルリと床に落ちた。

「もっとリラックスして、気楽にして下さいね」

床に落ちたじゃがいもを拾い、初音さんに渡したのは料理教室の先生だ。先生は女性で、お手軽な料理から古風な和食まで、とことん料理を追求しては楽しんでいるタイプだ。どちらかと言えばアイドルの様に童顔で可愛らしいタイプ。その容姿と親しみやすいレシピから、若い女性や主婦層に厚い支持を得ている。

「はいぃ、すみません」

店では落ち着いた感じの初音さんらしくなく、緊張してる赴きに見える。私と初音さんの調理台は隣同士だったが、初音さんが心配で仕方ない。

私は初音さんを気にしつつ、じゃがいもの皮を向いて鍋で茹でる。本日のメニューはポタージュとサラダ、トマトとほうれん草の冷製パスタだ。

回を重ねる毎に料理はグレートアップし、年末にはおせち料理を作る教室に希望者は参加出来るらしい。おせち料理にもレベルがあるらしいが、順調に行けば高レベルのおせち料理を作れる様になるらしい。
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