幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
私の最終目標はやはり、高レベルのおせち料理だから毎月頑張って参加する予定。

いつか産まれてくる子供達にも、瑛ちゃんにも手作り料理を沢山食べさせてあげたいから頑張る。

「サラダのドレッシングはお持ち帰り出来るので美味しく作って、御自宅でも楽しんで下さいね」

先生が一人一人の調理台を巡り、アドバイスをしている。

「鷹司さんは手際が良いですね。お家でもお料理頑張ってるんですね」

「はい、瑛ちゃ……、いや、夫が毎日忙しいので、なるべく美味しい物を作ってあげようと思って修行中です」

「修行ですか? 逞しいですね」

ポタージュ用の玉ねぎとじゃがいもの薄切りをバターで炒めていると先生が話をかけてきた。"鷹司さん"と呼ばれる事も、瑛ちゃんを"夫"と呼ぶ事にも慣れない。"鷹司さん"と何度も誰かに呼ばれる事で、結婚した実感が湧いてくる。

帰りも遅いのがほとんどだし、帰らない時もあるし、休みの日にも呼び出しが来たりして一緒に過ごせる時間が少ない。一緒に過ごせる時間が少ない分、その時間を大切にしたい。

忙しい瑛ちゃんをサポートするには、帰宅した時には思う存分リラックスして貰い、お腹も心も満たしてあげる事が重要だと考えている。その為には家事を頑張る。

「小花衣さん、それはちょっと……やり直しかな?」

"小花衣さん"と先生の声が聞こえて、馴染みのある名字に反応した。当然、私は"鷹司"になったので該当はせず、初音さんだった。
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