幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
先生は仏の様ににこにこしながらも、垣間見える姿は本当はドSなのかもしれない……。

初音さんがむくれて怒っているのを初めて見たので、新鮮味を感じる。初音さんも人間らしいと言ったら失礼かもしれないが、そんな一面を見て、益々好きになり、親しみやすさが増してくる。

「先生は優しそうに見えて厳しいんですね」

「そうよ。まぁ、私にだけかもしれないけれどね」

ぷうっと膨れている初音さんが可愛らしい。

「初音……!」

「高雅さん……!?」

「店は任せて来た。そろそろ終わる頃かな? と思って駅で待ってたんだけど来ないから心配して迎えに来た。メッセージ見てないの?」

「わー、ごめんなさい……。実は今日、スマホを忘れてしまいました。陽菜乃ちゃんがお家に迎えに来てくれたから、忘れた事を気にもせずにごめんなさい……!」

「そうか、全く……、忘れてたなんて初音らしいな」

料理教室の時間が予想以上に遅くなってしまい、心配して迎えに来た兄は初音さんしか見えていないらしい。今日は初めての料理教室だと言う事で心配で店を任せて来たらしい。どれだけ初音さんに対して過保護なの?

「初音、指……、こんなに絆創膏を貼ってどうしたの? 大丈夫か?」

「だ、大丈夫よ。こんなのなんて事ないわ。毎週通って直ぐに上手になるわ。今日はパスタにポタージュも作ったの。ドレッシングはお持ち帰り出来たから試してみてね」

兄が初音さんの絆創膏だらけの指を見て驚き、ショックを受けている。私は仲の良さそうな二人を見ながら、瑛ちゃんを思い出した。私も早く瑛ちゃんに会いたいな──
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