幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
ショッピングモールを抜け出し、隣接しているシティホテルの中へと入って行った。

「間に合った! 行かない? 水族館?」

「……っぷ、最初に言ってくれれば良かったのに!」

連れてこられたのは、紛れもなく水族館だった。

「思い出したんだよ、陽菜乃が小さい時に近所の家の金魚を見て、自分も飼いたいって泣いた事を……」

「それがどう関係あるの?」

「さっきの男の子が金魚いっぱい見たよって教えてくれたんだ。何気なくネットで調べてみたら金魚展やってるって載ってて、金魚と言えば、陽菜乃と結び付いた。休みがまちまちで次はいつゆっくり出来るか分からないから、今日行きたくなったんだ。いきなりごめん」

瑛ちゃんが申し訳なさそうに謝ってきた。私の事を思い出してくれて、私の為に貴重な時間を割いてくれて心から嬉しく思う。

「瑛ちゃんこそ、仕事帰りなのにありがとう。私も行きたいよ、行こう?」

私は瑛ちゃんの手を引っ張り、チケットを購入しに向かう。

瑛ちゃんは、
「俺のプライベートの時間は全力で陽菜乃に尽くすって決めたから良いんだよ」
と言って微笑んだ。

私達は沢山の可愛らしい金魚達や珍しい品種の金魚や定番の魚達を眺める。子供の頃に戻ったようにはしゃぎながら水族館を堪能し、余韻に浸りつつ、時間的にもお腹が空いてきたので夕飯を摂る事にした。

「何食べたい? イタリアン? フレンチ? お寿司?」

ショッピングモールのレストランに行くのかな? と思って居たのに、瑛ちゃんはホテル内のレストランで食事をしようとしている。ホテルには高級店も並んでいる。中には有名な店の系列店もあり、セレブ達で賑わっている。

普段ならば立ち寄らない、足を踏み入れた事もないフロアに躊躇してしまう。食事のお値段はどこにも記載されていないが、品のある客層と店の佇まいが高級なのだと物語っている。
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