幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
兄は詳しい病状説明を受けた後に初音さんに会ってから帰ると言って、私達は一足先に病院を出た。

雪は降っていないものの、気温は冷え込んでいて身体も寒く手も冷たい。

「初音さん、早く元気になって欲しいな」

「大丈夫だよ、嫌な奴だけど腕は確かな二宮がついてるから」

先程の失態を兄にバラされたのを根に持っている瑛ちゃんは嫌味混じりで言ったが、褒める事も忘れてはいなかった。

初音さんは最低でも一週間は様子を見たいから、それまでは入院してもらうと二宮先生が言っていた。二宮先生は親身になって相談にも乗ってくれるし、妊娠や出産について不安があれば時間が許す限りは丁寧に説明もしてくれる。

「私と初音さんの赤ちゃんが偶然にも同級生になると思うと今から楽しみでしかないの。お正月とかも来年からは賑やかになって嬉しいな」

「そうだな。しかも同性だともっと賑やかになりそうだよな」

将来、学校も一緒になるだろうし、義理のお姉さんだけれども、ママ友にもなれて心底嬉しいのだ。出産話とか育児話とか色々したいなぁ。楽しみが待ち受けているので、出産に対する不安もあるけれど薄れてきている。

「寒いから、帰ったら陽菜乃が作ったお雑煮食べたい」

「うん、食べよ。身体が暖まるように」

どちらかともなく手を繋いでいる私達。繋いでいる手が次第に暖かくなってきて、温もりは良いなと改めて思う。昨年の今頃は瑛ちゃんと結婚するなんて夢にも思わなかったし。

瑛ちゃんと再開してからというもの、目まぐるしい程に見える景色が変わっていった。
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