幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~
「瑛ちゃんの足は暖かいね」

絡められた足で自分自身のつま先が温められる。背中からも温もりが伝わり、次第に寒さを感じなくなってきた。

「俺は冷え性じゃないから。陽菜乃は足は冷やしちゃ駄目だよ」

瑛ちゃんはそう言いながら、愛おしそうにお腹を撫でてくる。

「来年の今頃はお腹の子も一緒に正月を迎えるんだよな。高雅の子も居るから、更に楽しみだな」

「うん。二人はね、きっと兄弟みたいに育つんだよ。将来は和菓子屋を継いだり、ドクターになったりするのかな?」

「強制するのは親のエゴでしかないから、子供達が憧れる存在になれれば、自然にそうなってくれるよな。その為には、高雅も俺も頑張っている姿を見せるよ」

瑛ちゃんは優しいから、子供自身が目指す職業が自分とは違っても応援はして支えていくだろう。しかし、本音は病院を継いで欲しいだろうと思う。そう遠くない未来に、お義父さんから瑛ちゃんが引き継ぎをする病院が末永く続けていけますようにと私は切に願う。

「私は瑛ちゃんが頑張っている姿を子供に見てほしいな。うちのパパはスーパードクターなんだよ、って!」

「あー、そして! やっぱり、子供に診察されたい! 『パパは和菓子の食べ過ぎだから病気になりまちゅよ』って! ちなみに看護士は陽菜乃ね」

瑛ちゃんの事を褒めているのに話は反れている。どうしても、子供とお医者さんごっこをしたいらしく、私はついつい笑ってしまう。
< 92 / 112 >

この作品をシェア

pagetop