遊川くんは我慢ができない⚠


◇ ◇ ◇


「こ、これからどうしたらいいの……?」

「俺に任せて。ほら、力を抜いて俺に身を(ゆだ)ねて」

「え、待って、止まって!」

「はいはい落ち着いて~」


 そんな軽い調子で言われても……!


 こんな状況で落ち着けるわけないよ!


「一人でやるから離れて~!」

「りっちゃんには無理でしょ? 初めてのクレーンゲームなんだし」

「それはそうだけど!」


 でも、こんな!手取り足取りは望んでないよ!?


 耳に息がかかってるし、手も重なってて熱いから!


 いろんな緊張で手が震えちゃうんだよ~!!


 10分前のあのとき、もうちょっと慎重(しんちょう)に答えるべきだった!


『まずはどこに行きたい? りっちゃんの行きたいところに行こう!』


 いつものポニーテールで気合いを入れ、街に繰り出して遊川くんの第一声。


 相手に合わせることが染みついてしまっている私は、


『遊川くんがいつも行ってるようなところに行きたいな!』


 遊川くんとお揃いの笑顔で、パッと思いついた希望を伝えたんだけど……。


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