遊川くんは我慢ができない⚠



「彼氏の方、やたらこっちをにらんできてんだけど」

「こえーな。呪いでもかけられそうだわ」


 遠ざかっていった男の子たちが最後にぼそっと残した言葉たち。


 それは私がなにも見えてなくても、遊川くんの無礼(ぶれい)を教えてくれていて。


「遊川くん! 知らない人をにらんだらダメだよ!」


 遊川くんの手がゆるんだ瞬間、視界がクリアになった私は再びワッと声を上げた。


 目が合った遊川くんは、いじけた子どもみたいに不満そうな顔をしている。


 それから、ぎゅっと結んでいた口を小さく開いた。


「だってあいつら、りっちゃんのことじろじろ見てたから……」


 ムッとしてつい……とつけくわえられた声には、おさえきれていない苛立ちがにじむ。


 とりあえず、男の子たちが私を見てるのが気に食わなかったんだね。それはわかった。


 でもね、いったん落ち着いて冷静に考えてほしいんだ。


「ぬいぐるみを顔に押し付けられてる人がいたら、私だってガン見しちゃうよ!」


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