遊川くんは我慢ができない⚠



「あ……」


 はっと我に返った遊川くん。


 今さら気づいたの?と思いつつも、気づいてくれてなにより。


 しかし、ほっとしたのも束の間(つかのま)で。


「で、でも! 元はと言えばりっちゃんが悪いんだよ!」

「え?」


 キッと、なぜか強い視線を浴びせられた私。


 私、悪いことしてないと思うんだけど!?


「こんな場所であんな可愛い笑顔を見せびらかして……それを見たあいつらが、うっかり好きになっちゃったらどうするの!」


 混乱する私に人差し指を突き出し、本気も本気の顔をして怒ってくる遊川くん。


 そういえば、初日も私を可愛いって言っていた気がする。


 ……私に一番似合わない言葉なのに。


 遊川くんは正真正銘(しょうしんしょうめい)の変人だ。


 そう思うのに、感情はまったく別の方へ向いていて。


「なーに笑ってんの! 俺は真剣なんだよ?」


 頬がゆるむのを止められそうにない。


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