遊川くんは我慢ができない⚠



「こ、これ、もっと恥ずかしい……!」

「そうだろうね」


 平然と返す遊川くんは、満面の笑みを向けてくる。


 状況が状況じゃなかったら、反射で笑顔を返していたくらいのにこにこ顔。


 ずっと我慢し続けていたからか、この状況が楽しくてしょうがないみたい。


 私がこういうの得意じゃないって知ってるはず。


 じわじわと距離を詰めてくるなんて、イジワルだ……!


「りっちゃんはさ、普段は背筋がピンって伸びてるんだ」


 私で遊ぶ遊川くんは、私の背中の芯をわざとらしくなぞった。


 『びゃっ』と変な声が出たと同時に、緩んでいた背中の線が元に戻る。


 遊川くんのいじめを()めようと睨んでみるけど、効果はなくて……。


「可愛い」


 かち合った瞳は、満足そうに光っていた。


 ……いじめられてるのに私まで嬉しくなっちゃうなんて、遊川くんの変人がうつっちゃったかも。


 気恥ずかしくて、かがやく瞳から目をそらそうとしたその瞬間。


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