遊川くんは我慢ができない⚠



 ゲームセンターを出てから、遊川くんは私にべったりで。


『このケーキおいしい! りっちゃんのは?』

『たぶんおいしい……』

『たぶん……?』

『遊川くんが離してくれないから、緊張で味がわからないよ!』


 カフェの隅にあったテーブル席に座った私たち。


 飲み物とケーキたちの影で、手は繋がれたまま。


 向かい合って座っているのに手を離さないなんて、聞いたことない。


 だから、頑張って手を引き抜こうとしてみたけど……


『嫌ならやめる……』

『嫌なわけない!』

『食い気味に否定してくれるんだ?』

『あっ……!』


 嬉しそうに、もっと強く握られた。


 遊川くんの上機嫌な様子を見て、私は抵抗するのをやめた。


 だけど、だんだんと遊川くんも開き直っていって。


『電車、結構揺れるね』

『俺につかまって』

『それは大丈夫……わっ!?』

『おっと。ほら、危ないじゃん』

『だからってこんな……!』

『意地を張るりっちゃんが悪い。もう静かにしてて』


 満員電車の中、私を抱きとめて離さなかったり。



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