遊川くんは我慢ができない⚠
「……やっちゃった」
「ふふっ。大丈夫、この部屋じゃないよ。ここだったらもっと大きな音が出るはずだし」
警報が聞こえたときは思わずギクリとしたけれど、焦ることなく笑っている遊川くんいわく、鳴っているのはこの部屋じゃないみたい。
音で正気に戻ったらしい遊川くんは、あっさりと私を放して玄関へ向かった。
切り替えが早い……と思いつつも、ひとまず問題を起こさなかったことにほっと息をついて、その背中を追いかける。
「いきすぎたスキンシップをすると警報が鳴ります。ペアとしての減点事項にも入ってるから気をつけてね」
ドアから少しだけ顔を出して二人並んで廊下を覗いてみると、少し先にある207号室のペアが怒られているのが見えた。
二人とも気まずそうにそれぞれの方向を向いている。
それを私たちと同じように野次馬根性で見ている人たちがたくさんいて……。