遊川くんは我慢ができない⚠



「俺、麦茶が一番好き。ありがとう!」

「ど、どういたしまして」


 家では当たり前に受け取られるコップ。


 不意打ちの感謝の言葉に、思わずどもってしまった。


 遊川くんはこんなささいなことで本当にうれしそうにお礼を言ってくれるんだ……。


「家ではいつもこんな感じなの?」

「こんな感じって?」

「ごはんを準備して、お話をするたびにお茶を出して……みたいな。エプロンも新品じゃなさそうだし」

「あっ……」


 視線の先を追ってようやく気づく。


 家では服を汚さないようにとエプロンを身につけていた。そしたら今日も、お昼からずっとつけっぱなしにしていたらしい。


 今日からは弟たちがいないんだから、ごはんができたら外しても大丈夫だったのに。


 完全に習慣が染みついちゃってる……。


 素が出てしまってるのが恥ずかしい。


 とりあえず遊川くんの質問に頷いて答え、急いでくたびれたエプロンを脱いでいると。


 遊川くんは私を見たまま、顔をほころばせた。


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