遊川くんは我慢ができない⚠



「玄関の扉を開けた瞬間に美味しそうな匂いがしてさ。キッチンを見たらエプロン姿のりっちゃんがいて……この子が俺のお嫁さん候補だって思ったら、すっごく嬉しくて!」


 それで、顔合わせ早々に私を抱き締めたってこと?


 私の“いかにもお嫁さん”みたいな感じの姿に感動したってことなのかな?


 私にとっては普通のことだけど、それを最高だって褒められるとそわそわしちゃう……。


 急激に上がっていく体温を冷ますために、とりあえず麦茶を口に含む。


 すると、今度はそろーっとこちらの様子をうかがっている遊川くんと目が合って。


「びっくりさせてごめんね?」


 綺麗な顔に浮かんでいるのは、私が怒っていないか心配している弟と同じ表情。


 それでさっき、怒られたくなくてリビングから逃げ出そうとしてたんだ。


「大丈夫だよ。でも、今度からは気をつけてね?」

「えーっと……難しいけど、頑張る!」

「え、難しい? スキンシップをしないようにするだけなのに?」


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