オタクな俺とリアルな彼女。
大好きないづみさん。
────────────────────
「え……」
俺は先輩によって広げられた物を見て,凝視しながら固まった。
「あれは君がいないと実現しなかった企画だ。元々用意していたものだから,数の問題もない。遠慮なく受け取ってくれ」
「あの,でも……え……」
「君はどれに応募したんだ?」
Tシャツとキーホルダーが2つずつ。
目の前に,机の輪郭をなぞるように置かれていた。
「企画の産みの親にお礼と現物を渡すのは何もおかしな事ではない。どうしても気になるのであれば,報酬とでも捉えればいいだろう」
「でも,そんな……俺は……」
「そうか。……余りは知人にと決まっているのだが,受け取って貰えないのであれば,1つ余計になるな。どう処分したものか……」
うむと軽々しく放たれた言葉に,俺はうろたえる。
「あの……っTシャツの,先輩のミニキャラの方です……」