オタクな俺とリアルな彼女。
「あの,かな…」



言いかけて,気づく。

何かが,おかしい。

周りを見渡して,その正体に少し近付いた。

周囲の人間の表情だ。

大きな声を出したのだから,驚くのは当然。

俺もそれくらい自覚があって,今にも離れたいくらい恥ずかしい。

でも……違う。

困惑している,どの人も。

不愉快そうにしている人もいる。

皆彼女のことを知ってるんだろう。

当たり前だ,こんなに素敵な人,他にいない。

何だ。

何を間違えた?

何を……

俺が発したのは……たった一言。



『~っ奏,さん!!!!!』



まさか。

もう色々ごちゃごちゃだ。

なんでここに。

当たり前みたいにカフェ利用して。

なんでここに。

喋り方もそのままで。

なんでここに。

なんで,彼女が……



恐る恐る見上げると,しっかりと商品を手にした彼女がゆるりと俺を見下ろす。



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