花を飾った君に、いつか
視線を外した巳夜くんの横顔も綺麗で両手を合わせて拝んでしまう。
右手と左手が触れたその時の熱さが異常で、冷や汗をかきながら大人しくまた横になった。
すっかり夜に目が慣れて、 髪を優しく梳く巳夜くんの手が映る。
ひんやりと冷たいおっきなその手は、私の手を包んだ。
「もう少し意識して。俺だけ見てて」
「推しのファンサが尊い」
「.....推しじゃ満足できないからね、俺」
夢と現実で半身ずつ分けたような、それほど眠くて、でも起きていたくて。
目の前で起きたことがわかっているようでわかっていないぼやけた世界。
────その静かな部屋に響いた小さなリップ音は、私の手に落とされたもの。
私はその曖昧な現実で、彼が好きだと今更気づいた。