花を飾った君に、いつか
「...最下位...痛た、た」
本番当日、病み上がりすぐの体は重たくてしょうがない。
挙句盛り上がる種目のひとつであるリレーで落ちるように転び、派手に失敗をおかしたのが数分前のこと。
そんな私は気づけば蛇口が六つ付いた水道の前に立っていた。
昨日の雨でところどころぬかるんだその地雷に足を置いてしまったらしい。
泥だらけの私はなんだか惨めで誰にも見られたくなかった。
熱のせいだ!とは思いたくないのに、低い順位を突きつけられて落ち込むしかない。
雲ひとつ見当たらない今日、太陽によって作られた濃い影が私を覆いかぶさっていることに気づく。
「……?」
「恋色」
夜依くんだとわかった瞬間、地面にのめり込みそうなほど頭を撫でられ、情けない声が漏れた。
恥ずかしいとこばっか見せてる...髪ぽさぽさで足は傷だらけだし。ああ、絶対今土の匂いしてるよ。
なんの謝罪なのか自分でもわからないまま「ごめんなさい」を口に出そうとした。