花を飾った君に、いつか

「おはよう巳夜(みや)くん、今日もかっこいいです!」


私、西野 恋色 (にしの こいろ)には好きな人がいます。



好きひとつじゃ足りない。



何個も何十個も重なって、背伸びをしても届かないくらいに積まれた気持ちは、増える限定。ほんの少しだって減ったりしない。



だけど、これは恋というものではないのです。



「...おはよ」



朝だけの掠れた低音が好き。



全体的に色素の薄い髪、瞳、肌の色は弱そうに見えて嫌だ。



いつもいつもそう不満げに呟く度に私は首を横に振る。それが全部良いのに。



巳夜くんはわかってない。



これまでの人生の半分以上、充電不足みたいに無気力だろうけど、うまく充電できた時の格好良さは誰がなんと言おうとも、世界で一番。



そんな氷天 巳夜 (ひそら みや)くんは、私の大好きな推し。



「巳夜くん、好きです!」


「知ってる」


「今日こそ志望校を教えてください!秘密にします、どれだけお菓子を貰ったって巳夜くんを売ったりしません!」


「...真似されるから嫌。ていうか教室のど真ん中でナイショ話できると思ってるの?」
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