花を飾った君に、いつか
でも見上げて見えるその微笑みは、順位なんて気にしていないような気の抜けたもの。
とりあえず、と形だけのゴールをして、そのままあの水道まで手を引かれていた。
着いてすぐ蛇口を捻って水を出してくれたのは、いまだに私の足がよごれているからだろう。
でもその時間でさえももったいないと思うほど、巳夜くんに気持ちを伝えたい。
向かい合った瞬間、私はどんな時よりも緊張していた。
「...俺の片想いの話する?
偶然目が合った子に一目惚れして、偶然見た進路希望の紙で志望校知って」
「ま、待ってそれ...」
「嫌だなって思った。その子に恋するのも、恋してほしくもなかった。だから追いかけた。
そんな格好良くない恋の話。」
無表情で気持ちが読めないはずなのに、心が覗けるみたいにわかってしまうのはコイワズライってやつかもしれない。
巳夜くんのことばっかり考えてたからだ。
病と呼ぶよりも、もっと幸せであったかいものだけれど。