花を飾った君に、いつか
花を飾ってくれた君
「もしもし凪ちゃん?───うん、やっぱりあの二人だったね、すっごくお似合いだったし」
高校三年生、たくさんの祝福のなか、あの子とあの人がゴールデンカップルに選ばれた。
なにかお祝いに渡したいね、なんて話していると自然と浮かぶあの光景。
左手の薬指に同じ指輪をつけて、涙を浮かべていたあの光景は本当に綺麗だった。
───ピンポン
「巳夜くん!おはよう!今日も......なにそれ?」
「告白しにきた」
デートに誘ってくれた巳夜くんは、いつものラフな格好ではなくて、少しあらたまったようなお洒落な服を纏っていた。
手に持っていたものをこちらに差し出す。
薄いピンク色のブーケの中。白い大きめの花は私が好きだと言った花、それと小さな黄色の花が可愛らしい花束で。
「ゴールデンカップルにならなくても、俺の中では世界一だよ」
「.....うぅ、みやくん〜」
「結婚する約束、してくれる?」
玄関は開いたまま。
ご近所さんに聞かれているかもしれないなんて今の私では考えつくはずもなく、ただ涙が零れていた。
一番になれなくても、隣に自分の一番がいるなら、それは幸せって呼べるはず。
だって、私が今そうだから。
「巳夜くん、今日も大好き!」