花を飾った君に、いつか
頬杖をつきながら呆れた顔で私を見上げる、その姿だけで胸が鳴るには十分。
推しの隣にいられる関係だなんて恐れ多いにも程がある。
こうやって目が合う度、寿命を伸ばすほど生命力が貰えるから、巳夜くんはすごい人。
おかげで学校に行きたくないと思ったことは一度もない。
...結局何をしても教えてくれなくって、私は第一希望だったところにしたけど。
大体この偏差値、あの学校の制服がかわいい、周りにオシャレなカフェがたくさん......
私のなかの基準はそんなものだったけれど、恋したい青春したいが為に、七海学園を選んだ。
七海学園高校。
私たちの代が中学を卒業する年に開校される高校で、「結婚科」という世界初の学科を取り入れた場所。
世界一の結婚を目指すその高校は、三年間で一組の“金の夫婦の卵”を選ぶためにこの学園を創立させたという。
選ばれた二人は、創立した七海夫婦の跡を継ぎセブンオーシャンの社長になること。
特殊すぎるその学校を選んだのは、ただ恋をしてみたいから。