木曜日は立ち入り禁止。
「え、何…驚きすぎ」
「ごめんっ…」
「だから、大塚は謝りすぎなんだって」

ぽかっと頭を叩いた藤くんは、なーさんに目を向ける。
そのなーさんと言うと、ギッと鋭い目付きで藤くんを睨んでいた。

「…ちょっと、その気が無いならみくるに手出すの止めてくれる?みくるに変なことしたら私が許さん」
「なーさん、どうどう…」

今にも飛び掛りそうななーさんを抑えつつ何か用かな?と藤くんに問うと、
藤くんはそっと耳打ちしてきた。

「さっきの話、冗談とかじゃないからね」

だから、断っといて
と藤くんは自分の席に戻っていった。
戸惑いながら藤くんに目を向けると、彼は人差し指を口元に当ててしーっとした。

「もうっ、なんだよアイツ」
「…なーさん、ちょっと私木曜日は難しいかも」
「え、なんで?部活休みなんじゃなかったっけ」

うーんと、なんて言えばいいんだろう…。
ホントのことを言ったらなーさんは誤解しそうだし、そもそも藤くんのあのしーっは
内緒にしておいて
ってことなんだと思う。

「えーっと、そう!お手伝いが入っちゃったの」

一応嘘じゃないし、間違いではない。

「え、毎週?」
「あー、えっと、うん」

ふーん?と少し疑うような目のなーさん。
うぅ…、なんか申し訳ない。

「まぁいいや、了解。じゃあ土日にしよっか」
「うん、ありがと」

じゃあチョコあげる、となーさんはまたチョコをくれた。
なーさんのバイト先のカフェは、珈琲や紅茶と一緒に小さいチョコを提供してくれる。
でも甘いメニューには付けられないからって言って、オーナーが余った分をなーさんにくれるんだとか。

「これ彼氏もお気に入りなの」

って、前になーさんが言ってたなぁ。


そのうち、りっちゃんと佐藤くんが帰ってきた。

「ちょっと聞いてよ2人とも!」

りっちゃんは席につくなり私たちの顔を集めて小声で話し始めた。

「佐藤くんがさ、私のこと庇ってくれたの!」
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