木曜日は立ち入り禁止。
「「庇う?」」

私となーさんは2人して間抜けな声を出してしまった。

「そう!お前は毎回呼ばれすぎだーって担任が私に怒り始めたから、ちょっと怖くなっちゃったんだよね。そしたらさ、佐藤くんが、あーオレと藤もじゃんーやべぇって!矛先を私から逸らしてくれたの!」

それは……。
思ったことを言ってしまっただけなのかそれとも本当に庇ったのか。
どっちだろうと思っているとなーさんと目が合った。
多分、同じことを考えている。

て、あれ?

「佐藤くんと藤くんってそんなに仲良かったっけ?」

私は思わず疑問を零してしまった。

「ん?同じ小学校だったみたいだから、仲良いんじゃん?」

てか、なになに?藤のこと気になるの?!

と興奮した様子でりっちゃんが私に笑顔を向ける。

「え、えっとそういう訳じゃ…」

気になると言えば気になるけど…。

「えぇーじゃあ佐藤くんの方?」
「それは絶対ないよ!」
「だよね」

時計を見れば一限の時間は終わりに迫っていた。
結局全然自習出来なかったなぁ。

チャイムの音と共にさっきの大変な時間が終わりを迎える。
私の机には大量のチョコが置かれることになった。

これはなーさんからの事情聴取が始まる合図。
なーさんは刑事さながらの渋さを滲み出しながら、りっちゃんにバレないような声で

「……藤について、聞かせてもらおうか?」

と一言。

「なんにもないってば…!」
「何をー?!さっき親密そうにしてたじゃんかー!」
「〜〜っ、それは」

私はりっちゃんにもなーさんにも、自分の小学校や中学校の話はあまりしていなかった。
隠してたわけじゃないから、佐藤くんからりっちゃんに少し話が渡ってたけど。

だって、過去の話をすると、思い出しちゃうから。

ずっと消えることの無い、あのトラウマを。

「うーーーーんとね、同じ小学校だったの」
「……ん?藤と?」
「そう、だから小さい頃は遊んでたの」

ゆっくりと、伝えても大丈夫なところを探しながら、開けちゃいけない思い出を避けながら話す。
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