木曜日は立ち入り禁止。
「えっと、何かな?」
「あのさ、一限の体育って女子も休みなんだよね?」

??
どうしてそんなこと聞くんだろう。
何か学級会議とかやるんだろうか。
勉強したかったな。

少し顔に出てしまっていたのか、焦った様子の彼は慌てて口を開く。

「別に、そんな長い時間かけないんだけど、ちょっと話したいことあるから美術室に来てくれないかな?」
「美術室?」

なんだ、そんなことか。
私はほっとした。美術室はこの教室から少し遠いところにあるけれど、往復5分もかからない。
それに、美術室ってことは部活の相談なんだろうな。

「うん、分かった」

勝手にそう解釈した私はにこっと笑って頷いた。男の子は嬉しそうに笑って

「じゃ、じゃあ先行ってて!やることササッとやって行くから!」

と、どこかへ消えてしまった。

「ねぇみくる!アイツ絶対みくるのこと好きじゃん!告るつもりだよ絶対!」
「わわわっ、りっちゃん?!」

動画撮りについて行っていい?!とでも言いたげにソワソワしてるりっちゃんとは裏腹に、なーさんは少し不安げな表情を見せる。

「なーさん?どうしたの?」
「いや、やっぱみくるに男は不安というかさ…」

2人とも気が早いよ…。

私は告白だなんて思ってないし、告白だったとしても付き合おうとは思ってない。

私には付き合えない理由があるから。

「そんな、告白なわけないよ!きっと部活の相談だと思うよ!入部したいとか、そういう」
「あっそっか!みくるの入ってる写真部って美術室使ってるもんね!」

納得納得、と頷くりっちゃん。まだ不安げななーさん。

「なーさん、大丈夫だよ。私彼氏なんて作らないよ」
「……あーーもうそうだけどそうじゃなくて」
「??」

頭を抱えるなーさんに行ってきますと言って、私は美術室に向かった。
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