真面目な鳩井の、キスが甘い。
 ……

 ……あれ?

 目、そらされない……?



 しばらくして晴翔が「鳩井!やっぞ!」と声をかけると、ようやく鳩井の視線が外された。



 …?

 鳩井の今のは、どういう感情…?


 私はゆっくりと首をひねる。

 ……はっ。

 もしかして、面倒なことに巻き込みやがってって思った?

 なんてこった……!好かれたいと思ってたのに、むしろ嫌われた……!?



「ヒーナ♡」



 そしてスルリと首元にまわされたノアの腕に、またもや鳥肌。

 これは、乙女の夢であるバックハグ。



「キモイキモイキモイ」

 逃れようとする私をノアは簡単にやりこめてしまう。

「二週間後にはカップルだね」

「やだ、無理、絶対いや」

「フフ、ツンデレなヒナもかわいいよ」

「……」


 もうやだこの人。何語を話せば会話してくれるの。


「……今度は本気だよ」


 耳元のノアの声色が変わった。


「本気で、ヒナ一人だけを愛してあげる」


 ……よくこんなキモい人と付き合ってたな、私。

 愛してあげるってやっぱり上から目線で腹立つし。


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