真面目な鳩井の、キスが甘い。
「……」



 一人になった私はドサッとベッドに倒れ込んで、枕に叫んだ。



「10秒チャージかよ!」



 ……最近、鳩井のキスがひどい。

 あわただしく保健室にやってきたと思ったらさっきみたいに流れるようにキスをして、またあわただしく去っていく。

 まるで歩きながら食事がとれるゼリー飲料みたいだ。

 ひどい……っ、私の唇をなんだと思ってるの!?

 ……

 ……と、言いたいところなんだけど。


 ぶっちゃけ、

「…イイ」

 私のどうしても浮かれてうわずってしまう声が保健室にしみいる。


 鳩井のちょっと強引な、雄っぽい手つきは正直、イイ。

 普段きっちり丁寧真面目な鳩井に荒っぽくされるっていう、ギャップ、というかなんというか、

 とにかく、すっごく、イイ。まじでイイ。最高。

 今もまだ余韻で心臓がバクバク言ってる。

 あー好き好き好き〜♡

 私は枕を抱きしめて布団の上をゴロンゴロンする。
< 115 / 320 >

この作品をシェア

pagetop