真面目な鳩井の、キスが甘い。

 ⋈ 






 うーん、暇だ。

 校門を出て、人気のない道のど真ん中に仁王立ちして考える。

 どうやって暇を潰そう。

 ここに至るまでに中学の時の友達とかに連絡してみたりしたけど、みんな忙しいみたい。

 勉強……は、気分じゃないし。

 まぁ勉強したい気分のときなんてないんだけど。

 このまま撮影所行ってもいいけど…いい天気だし散歩でもしよーかなぁ。


 私は駅へ行くいつもの道とは反対方向に、探検に行くことにした。

 家、家、自販機、家。お店っぽいものがあったと思っても、よく見るとそこはすでに潰れたらしくもぬけの殻。

 何にもないなぁ。

 私は新調したピアスをいじりながらあくびする。

 おもむろに反対側に視線をうつしてみると、小さな公園が広がっていた。


 ……あ、誰かいる。うちの制服。

 シャツを腕まくりした男の子はゴールポストを見上げてバスケットボールを持ってる。

 なんか、雰囲気が鳩井に似てるな。

 サラサラな黒髪とか、骨ばった手の形とか、横顔……とか……


 ……

 てか、


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