真面目な鳩井の、キスが甘い。
「鳩井?」


 え、鳩井じゃん。紛れもなく鳩井じゃん……!


 不意打ちで鳩井を見つけられたことに興奮して、胸にワッと嬉しさが広がる。


 鳩井は近寄ってくる私に気付く気配もなく、ボールを顔の前に構えた状態のままゴールポストを見つめてかたまっている。

 公園の中を見渡してみるけど、やっぱり鳩井1人みたいだ。

 自主練……?一人で?

 少し離れたところから恐る恐る声をかけてみる。


「……鳩井?」


 ……


 応答はない。

 すっごい集中力。

 もう少し近づいて声をかけてみる。


「鳩井くーん……」


 鳩井はゴールポストを真剣に見つめて、なにかブツブツと呟いているみたいだ。
< 118 / 320 >

この作品をシェア

pagetop