真面目な鳩井の、キスが甘い。
「……おーい」

「……、……腕の角度は……、バネをイメージ……」


 ……何言ってるんだろ?

 もう斜め後ろの席くらいまで距離が近づいてるはずなのに、全然気が付かない。

 ここまで来ると逆に気付いてもらわないと帰れない。


「はーとー……」


 私は思い切って両足飛びで鳩井の前に入り込んだ。


「うぃっ!」

「!!」


 ボールの下から顔を覗き込ませる私に、鳩井がビクッと体を震わせて少し後ろによろける。

 その姿にすらキュンとしてしまう私はたぶん末期。


「いぇーいビックリしたー?フフッ」

「ビッ……クリした……」


 本当にビックリしたらしく、鳩井は目をシパシパとさせてる。

 申し訳ないけどかわいい。

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