真面目な鳩井の、キスが甘い。
 ねぇ、ねぇ鳩井

 本当はさ

 本当は、私のこと好きだったりしない?

 私が思ってるのと同じように、鳩井も私のこと思ってたりしない?





 ボールを捕まえた鳩井はさっきと同じ場所に戻ってくると、もう一度ボールを構えた。

 その真剣な横顔に、なんか泣きそうになって、たまらなくなって。

 私は後ろから鳩井のシャツの裾をくん、と引っ張った。


「ん……?」


 鳩井がボールを持つ手をおろして私のほうを向いてくれる。




 ──……好きだよ、鳩井。




 その想いを胸の中に押しとどめながら



 私は鳩井に近寄って、少し背伸びして、

 鳩井の唇に自分のそれをくっつけた。



「……!」



 鳩井の手からボールが落ちて、跳ねながら転がっていく音がした。



「……」



 唇を離すと鳩井の見開いた目と目があって、私の顔はやけどしそうなほど熱くなる。



「…………スポドリの代わり……的な?」



 自分でも何言ってんだ、と思う。



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