真面目な鳩井の、キスが甘い。
 コイントスによって最初に攻撃権を獲得したのはノアのチーム。

 先生の笛の音を合図にゴリさんからパスを受けたノアは、晴翔のディフェンスを軽く振り切ってシュートを放った。


「!」


 パスッとバスケットが揺れた。


 ……試合開始から10秒と経たず、ノアチーム先制点。

 え…!?早!早すぎない!?


「いぇー」


 ノアは脱力した笑顔でゴリさんたちとパチン!とハイタッチする。

 そしてショックを受ける晴翔の肩を、通りすがりに叩いた。


「試合10分だっけ?それで21点先取かー。このままだと2分くらいで終わっちゃいそうだなぁ」

「……ああ?」


 あああ晴翔さんその殺気しまって!尾道くんがわたわたしてるよ!挑発にのらないで〜〜〜!!

 祈るような気持ちで見ていると、近くの男子のひそひそ声が聞こえてくる。


「ノアの親父、元NBA選手ってほんと?」

「ノアチームの他の2人も中学までバスケやってたんだろ」


 私は驚いて振り返った。


「え!?そうなの!?初耳なんだけど!!ヤバいじゃん!強いじゃん!ヤバいじゃん!」

 私の圧に男子たちが少し後ずさる。

「そ、そっすね……」

「今までの試合も結構圧勝だったみたいっす」


 えぇー!ずるいよノア~~~!!

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