真面目な鳩井の、キスが甘い。
「次、決めよう」


 無表情で言ってのけた鳩井に、それまで余裕そうに口角をあげていたノアがこめかみをぴくっと動かした。


「……は?ポンコツが何言ってんの?」


 低い声で睨むノアを無視して、鳩井は晴翔にボールを投げた。

 それが動揺する晴翔の元に渡る。


「……時間ない。はやく」


 晴翔は「お、おう」と少し驚きながら、鳩井のあとに続いて持ち場に戻る。



 ……なに?今の

 無表情はいつものことだけど

 こんなあからさまに人を無視する鳩井は初めて見た。

 鳩井、なんか怒ってる?

 もしかしてノアのこと嫌いとか?

 あの人に負けるのはなんか嫌って言ってたし……

 ノアに対する異常な冷たさを感じる。


 ……ん?

 てか今、普通にボール投げれてなかった?




 試合は、再びチェックボールして晴翔の手に渡った。

 やっぱり強いディフェンスが晴翔に集中する。

 そして先ほどと同じように尾道くんにパスを出した所を、またしてもノアチームに奪われてしまい、ゴリさんがシュートモーションに入った。


 あーっ、やっぱりだめかー…!

 またゴールが入ってしまう、誰もがそう思った時だった。


「!!」


< 130 / 320 >

この作品をシェア

pagetop