真面目な鳩井の、キスが甘い。
 晴翔はもちろん、尾道くんも調子が上がってきて3人の動きがどんどんよくなっていく。

 負けじとノアチームもポイントを決めていき、10ー10の同点になったところでインターバルとなった。


「大丈夫か?鳩井」


 晴翔に支えられながらコートから戻ってくる鳩井はふらふらで、少し顔色が悪く見える。


「給水しろ、給水」


 鳩井はハァハァと苦しそうに息を切らしながら、柱にもたれかかってなんとかペットボトルのスポドリを口の中に流し込んでいる。


 鳩井、大丈夫かな……?元々走るのとかも苦手だったのに。

 いくら練習頑張ったからって、一か月で元々のポテンシャルはそう変わらないはず。

 苦しそうな鳩井を、こうしてハラハラと見守ることしかできないのが悔しい。


「晴翔くん!これよかったら食べてー!」


 その時、髪の長い美人な先輩が、鳩井の隣にいる晴翔に声をかけた。

 手にしてるタッパーにはちみつ漬けのレモンが入ってる。


「え、いいんすか…?」


 晴翔は申し訳なさそうにしながらも少し顔を赤くして照れている。


「うん!よかったらみんなで食べて♪」


 ……は!

 もしかして、ポッケのメモの人……!?


「あの人か…連絡ください♡のメモの人は」


 美愛も勘づいたらしく、私の肩の上から食い入るように二人を見る。

 私は心の中で晴翔に、もっと愛想よくしろ!とか、お礼を言うんだ!とエールを送る。

 気付くと観客もみんな、二人の行く末に注意がいってるみたいだった。

 そんな中、不意にその隣の鳩井と目があった。

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