真面目な鳩井の、キスが甘い。

　鳩井は無表情のまま視線を外そうとしない。

　私は恥ずかしくて仕方なくて、視線を外したくなるけど、それもできない。

　どうしたらいいかわからずに、また私の顔の熱がぐんと熱くなった、次の瞬間。

　私たちの視線は、ブツリと切られた。




「お前、なんなの？」




　……鳩井の前に立ちはだかったノアによって。


　ノアの悪意ある声に、会場の空気が一気に冷たいものに変わる。


「そのスキル隠して、僕らのこと騙してたってわけ？はっ、キッショ！」


　鼻で笑うノアに対し晴翔が腰を上げた。


「てめぇっ、」


　晴翔が臨戦態勢に入ろうとしたところを、鳩井が引っ張って晴翔の前に立つ。


「鳩井……？」


　そして鳩井は、初めてノアに真正面から言葉を返した。





「波木さんのこと簡単に手に入ると思ってるあなたの方がキショいです」