真面目な鳩井の、キスが甘い。
「はー…………困る」


「……!」



 困る……そっか、困るよね……



「ごめん……ほんとごめんね。もうキスフレ、できないよね」


「……そうだね」


「だ…よね、だよね……」



 あー……

 本当に終わっちゃった

 私の、初恋……


 また涙が溢れてきちゃって、悲しい気持ちに耐えようと目を閉じて上を向いた。





「…………付き合う?」


「うん、そ……」





 鳩井の言葉にうんそうだね、と相槌を打とうとして、違和感を感じて目を開ける。





「…………ん?」





 〝付き合う〟って聞こえたような気がしたけど





「あ、違うな……」





 ボソッと言った鳩井はおもむろに立ち上がり、私に向かって頭を下げた。





「付き合って、ください」





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