真面目な鳩井の、キスが甘い。
「おっはよぉ鳩井~♡」

「っ……、」


 私の彼氏になって2日目となった鳩井が、ちょっとよろけながら私を抱き留めてくれる。


 はぁ~~~……好き♡


 今日も地味だね! メガネだね! 第一ボタンもちゃーんとしめてるね〜!


 溢れる気持ちで胸をいっぱいにして、ぎゅうっと鳩井を抱きしめてみれば、相変わらずのヒョロヒョロもやし感。

 くぅ……たまんない!

 鳩井は何か言おうにも言葉が出ないみたいで、ズレた眼鏡はそのままに、ひたすらかたまってる。

 そんな鳩井も可愛くて、愛おしくて、可愛い。


「あっ!ねぇ鳩井!見て!見て!髪!どう!?」


 私は昨日の帰り、いてもたってもいられなくて立ち寄った美容室で髪色を変えた。


「……すごい」

「桜でんぶ色♡」

「さくらでんぶ……」

「桜でんぶ♡♡♡」

「……」


 返答に困る鳩井がとりあえずズレた眼鏡を直した次の瞬間、私の後ろを見てハッとした。


「っ、飯野さん」


< 161 / 320 >

この作品をシェア

pagetop