真面目な鳩井の、キスが甘い。

 ⋈ 






 
 15時50分、保健室の一番奥のベッド。

 横並びでベッドに座る、鳩井と私。

 まずはじめに、私の右側にいる鳩井が眼鏡を外……さずに、


「波木さん。ちょっといいですか」


 と、真剣な表情で私に向き直った。


「イヤ!」


 涙目になった私は耳をふさいで全拒否する。


「……波木さん」

「鳩井の嘘つき!私のこと独占したいって言ったのに!」

「ゴホッ」

「昨日のハグはなんだったの!?」
 
「あの、波木さん、もう少しボリュームを……」


 朝ぶりに目の合った鳩井がやたらかっこよく見えちゃって、愛おしくなっちゃって、その尊さに視界が涙で滲み始める。


「うぅ…やっぱりこんなうるさい女じゃ無理ってこと…?桜でんぶとは話したくもないってこと…?」

「波木さん、落ち着いて」

「うぅ~ひどいよ鳩井ぃ〜」


 ポロポロと両目からこぼれ出す涙を拭こうともしない私に、鳩井が「あ~……」と言って服の袖で涙を拭ってくれる。
 

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