真面目な鳩井の、キスが甘い。
 美愛と二人うーんと伸びをして、ひとまずテストが終わった達成感を味わう。

 
「はー、夏休みぃ〜」

「みぃ〜」
 

 来週テストが返ってきたら、みんな大好き夏休みがやってくる。


「あーやばい、全身の血が騒ぎだした!うずうずするぅ…!」

「ほんと日向は夏好きよねー」

「うん!夏が一番好き~!」


 何と言っても今年は、鳩井との初めての夏休み!

 花火大会とか、プールとか、夏らしいこといっぱいしたい。

 時間が許す限りいろんなところにデートにも行きたい。

 できるだけたくさん、鳩井と過ごしたい。


 ……と、思ってた。

 
「日向は無人島だっけ?」

「……うん」


 この夏休み、ほぼ全部を使って私は無人島に行く。

 例の映画撮影のロケがあるからだ。

 電波も入らない無人島にセット組んでやるんだって。

 制作費に莫大なお金をつぎ込んでるこの映画、絶対にいいものにしなければいけないという意気込みを感じる。

 だーさんにはこの映画次第で『ヒナ』の芸能人としてのこれからが決まるって言われてる。


「そんで鳩井くんは?」

「……」


 私はちら、と横目で鳩井の席を見る。

 鳩井は教科書を手にして尾道くんとなにやら夢中で話している。

 問題の答え合わせでもしてるんだろうか。


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