真面目な鳩井の、キスが甘い。

「……わかった?」


「っ……」



 そんなうわずった声で囁かれたら、抗うことなんてできない。

 小さく頷くと、鳩井はゆっくり私の耳裏に手をしのばせて唇を唇に誘導させて、甘いキスをし始める。



「ん……、」



 やばい、ここ控え室なのに

 鳩井の甘い熱に、溺れちゃいそう



「っ……ん、鳩井、待って……っ」



 抵抗しようとする私の力ない手を、鳩井がやんわり捕まえる。



「だめ……逃げないで、波木さん」



 心なしかいつもより意地悪な鳩井のキスは、ちょっと強引で、でも、やっぱり甘くて。

 身体の奥の方から熱が次々せりあがってくる。



「んぅ……っ、は、」



 訳が分かんなくなるくらいトロトロに溶かされて、何も考えられなくなった頃。

 鳩井はキスの合間に、囁いた。





「…………好きだよ」




 
 ずるい。


 ずるい、ずるい。


 他の人に見せちゃだめって、そんなこと言われなくたって、


 
 鳩井以外にこんなドキドキさせられる人なんて、いないのに。




 
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